ギャンブルに人生を賭ける人々 「幸運の1ドル」(その2) 

1夜にして1ドルの元手を100万ドルまでに増やした浮浪者ギャンブラー「ワッキー」の続き。

翌朝、カジノ側が用意したスイートルーム。昨夜の興奮の余韻が色濃く残る中、張り詰めた緊張のからくる疲労でしびれた重い体を引きずるようにベットから這い出したワッキー。彼が真っ先にしたことは、枕の下にしまった「幸運の1ドル札」を確かめること。確かにそこに1ドル札が存在することを確認した彼は思います「これからは物乞いなんかしなくても生きていけるんだ」と。

そんな彼がスイートルームを出て階下のカジノに足を向けるのにそれほどの時間は要しませんでした・・・。

そして1週間が過ぎ、全ての勝利金を吐き出してスイートルームから追い出された時に彼が所持していたものは「幸運の1ドル札」だけであったということです。

後日談:
全てを失いカジノをたたき出されたワッキー。そのまさに翌日、彼は同じカジノの売店でキャンディーバーとガムを万引きした罪で逮捕されます。そして逮捕された時も彼のポケットには「幸運の1ドル札」は残されていました。彼としては、そのお金で買い物をして、全てをカジノに奪い取られることだけはどうしても我慢できなかったのでしょう。

それから数十年が経った今でもワッキーの姿をカジノで見かけることは珍しくないといいます。でも彼の「幸運の1ドル札」がその後どうなったかのかは、誰も知らないということです。

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