いよいよ今週末に迫った日本GP。舞台はモナコ、スパに並ぶと言ってもいいF1の聖地・鈴鹿。毎回、何かが起こるこのサーキットでのレースは、多くの注目を集めるだけでなく、今シーズンのチャンピオンシップを占う上でもとても重要です。それでは、今回の日本GPの展開を予想してみましょう。
まず、現在のドライバーズランキングの状況(オッズはウィリアムヒル10月5日現在)です。
1位 マーク・ウェバー(レッドブル) 202pt 4.50倍
2位 フェルナンド・アロンソ(フェラーリ) 191pt 3.25倍
3位 ルイス・ハミルトン(マクラーレン) 182pt 5.50倍
4位 セバスチャン・ベッテル(レッドブル) 181pt 3.00倍
5位 ジェンソン・バトン(マクラーレン) 177pt 13.00倍
前戦のシンガポールで、トップを決めたアロンソが2位に、同じく2位を射止めたベッテルが4位に浮上しています。逆に、リタイアに終わったハミルトンは
3位に転落。状況は1位から5位までの差が25ポイントという、相変わらずの混戦状態です。
それでは一体、誰が「鈴鹿」で勝つのでしょうか。そこをきっちりと予想するために、各ドライバーの特長やマシンの状態、サーキットの特性などを複合して
多角的に考えてみましょう。
まず、ポイントとして挙げられるのは鈴鹿サーキットの特性です。長いストレートのほか、低速コーナー、高速コーナー、S字コーナー、ヘアピン、スプーン、200R、130Rと、鈴鹿は多彩な要素を持ったサーキットです。ですから、ここではマシンの特徴が勝負の大きな鍵になります。
その点で最も有利なのは、フェラーリのアロンソです。フェラーリはここ数戦で確実にマシンの質を向上させてきています。いまのフェラーリのマシンを一言で言うなら、コーナーも速くかつストレートでも引けをとらない「バランスのとれたマシン」。これは「コーナーに特化したレッドブル」「ストレートに賭けたマクラーレン」と比べて、明らかに有利です。ただ、チームメイトのマッサの成績が、トラブルのためにいまひとつ伸びてこないところに多少の不安を感じます。同じマシンに乗る以上、アロンソにもトラブルの危険性は必ず付きまとうはずです。
では、ドライバーから見た場合の、今回の「鈴鹿」はどうでしょうか。
鈴鹿は多くのドライバーたちに愛されているサーキットのひとつです。それは「好きなサーキットだ」と答えるドライバーが数多くいることからも伺えます。
複雑かつ難しい。ドライバーの腕が問われる。たったひとつのミスが致命的となり得る。そして、腕のあるドライバーにとっては「奇跡」を起こす可能性も秘めている。
鈴鹿はドライバーにとってはそんな、恐怖の、でも魅惑的な場所です。ここで勝てるのは、実力はもちろん、ポテンシャル(勢い)の高いドライバーにほかなりません。
この点でも筆頭はアロンソです。彼はここ2戦連続優勝していますし、かつてルノー時代には優勝も果たしています。いまの勢いに乗りきれば、アロンソ優勝の線は動きません。
では、総合的に見てアロンソで決まりなのでしょうか。
違います。だって、そう言い切れないのが鈴鹿の怖さだからです。
鈴鹿はいつも「物語」を演出します。奇跡を見せ、あり得ない結果を見せ、時に残酷なまでの現実を見せ、私たちに「F1の面白さ」を突きつけます。
私は個人的には鈴鹿が一番予想しづらいサーキットだと思っています。それは、鈴鹿がそんなような「物語に満ち満ちた」サーキットだからです。
今回のレースでは、単純に予想すればアロンソが優勝となるでしょう。けれど、鈴鹿の神様はきっとそんな結果はもたらさないはずです。なぜなら、その結果は「物語」として、とても貧弱だからです。
(今回の予想、オカルトチックで申し訳ありませんが、もう少しだけお付き合いください。)
今回の鈴鹿を「物語」として見た時、次のうち一番面白い「物語」はどれでしょう。
1 バトンが優勝する。
2 ベッテルが優勝する。
3 ハミルトンが優勝する。
答えはひとつ。3の「ハミルトンが優勝する」です。
ここまで2戦リタイヤという屈辱を受けているハミルトンは、客観的に見れば優勝の確率があまり高くないドライバーです。が、彼が優勝すると残りのレースは俄然、面白くなります。そして、彼には優秀な技術と勇気と「負けん気」があります。
昨年の鈴鹿ではベッテルが見事に「鈴鹿初勝利」を手にしました。
2006年の鈴鹿では同点で争っていたシューマッハがリタイア、アロンソが優勝という結果になりました。
2005年の鈴鹿では予選17位のライコネンが奇跡の優勝を手にしました。
鈴鹿とは「物語」を紡ぎだす場であり、同時に「意志の一番強いドライバー」が勝つ場所でもあるのです。
前回も紹介したグラフを今回も紹介しましょう。
ドライバー | 腕のよさ | 気迫 | 運のよさ | プレッシャー | 特性 | 個人評価 | 合計 |
ウェバー | 3 | 2 | 3 | 2 | 4 | 2 | 16 |
アロンソ | 5 | 5 | 4 | 4 | 3 | 5 | 26 |
ハミルトン | 5 | 4 | 5 | 2 | 4 | 4 | 25 |
ベッテル | 4 | 4 | 4 | 3 | 4 | 4 | 23 |
バトン | 3 | 2 | 2 | 3 | 4 | 3 | 17 |
※個人評価は勝手な私見です。あしからず。
点数上、アロンソが一番なのは変わりません。ですが「鈴鹿」という独特のサーキットを踏まえた上で、今回は大胆に予想してみます。
1位 ハミルトン 5.50倍
2位 アロンソ 3.25倍
3位 ベッテル 3.00倍
本当は3位に小林可夢偉(251.00倍)を入れたかったのですが、さすがにそこまでは神様もしないだろうということで、こういう予想にしてみました。
展開としてはベッテルがポールをとり、中盤までトップを死守。2位か3位辺りにつけたアロンソがそれを追い続ける。一方、かなり後位置についたハミルトンがひたすら追い上げを見せ、オーバーテイクを繰り返す。という場面を想定しています。
途中、大波乱(ピットミスやペナルティ、エンジントラブル等)が起こり、結果的にはこうなるか、と。
展開次第では、クビサ(51.00倍)が表彰台に入るかもしれません。もちろん、小林可夢偉の表彰台も個人的には祈っています。ちなみに、上位にいるウェーバーとバトンですが、彼らの走りは基本的には「無難な走り」ですので、鈴鹿で上位に来るのは難しいと考えました。
さて、鈴鹿の神は誰に微笑むのか。決勝の10日がいまから楽しみです。
※オッズは「ウィリアムヒルズ」10月5日現在のものです。
※ウィリアムヒルではほかにも「ファステストラップ」や「個人戦」の賭け方もできます。様々なデータを元にこちらにチャレンジしてみるのも面白いかもしれません。(あくまでも個人的に予想として。ファステストはベッテルが取る気がしてなりません)