「レース中の給油禁止」という衝撃的なレギュレーション(ルール)でもって始まった2010年のF1GPは、当初「面白くなるわけがない」と多くの関係者から不評を買っていました。が、開幕戦こそダラダラとした展開だったものの、蓋を開けてみれば、雨の混戦や戦略の妙、ドライバー同士のバトルなど、見所は十分で、14戦目を終えたいまもなお、かなり熱い戦いを繰り広げています。
レースは、シンガポール、日本、韓国、ブラジル、アブダビと残り5戦。この5戦を勝ち抜いたドライバー、チームが、チャンピオンシップ、コンストラクターズを獲得するのです。 それでは今回は、熱いバトルが繰り広げられること必至の、9月26日(日)に予定されているシンガポールグランプリに注目してみましょう。
シンガポールグランプリは2008年より開催されている新しいレースで、市街地コースであることとナイトレースであることが大きな特長となっています。 途中、大きな橋を渡ったり、近未来的な照明の中をF1マシンが疾走する様子は、興奮度抜群。あのモナコなみに観ていてハラハラすること請け合いです。そしてもうひとつ。このコースの重要ポイントは、とても抜きづらく、事故が起こりやすいということにあります。(過去2戦はともにセーフティーカーが導入されました)
では、この「抜きづらく事故が起こりやすい」レースで勝つのは誰なのか?
ウィリアムヒルズでのオッズを見ながら、レース展開等と合わせて考えてみましょう。
いまのところ、候補はチャンピオンシップを争っているこの5人です。
1位 マーク・ウェバー(レッドブル) 187pt 4.00倍
2位 ルイス・ハミルトン(マクラーレン) 182pt 4.50倍
3位 フェルナンド・アロンソ(フェラーリ) 166pt 5.50倍
4位 ジェンソン・バトン(マクラーレン) 165pt 11.00倍
5位 セバスチャン・ベッテル(レッドブル) 163pt 3.50倍
※オッズは「ウィリアムヒルズ」9月17日現在のものです。
先に言ったように、このコースはとにかく「抜きづらい」。つまり、予選でポールポジション(1位)を取ったドライバーが圧倒的に有利になります。
となれば、第一候補は5位のベッテルです。ベッテルはとにかく予選が強い。ここ一番のスピードでは圧倒的な強さを見せます。そのためかオッズもトップです。ただ、若さのせいか安定性があまりありません。特にチャンピオンシップが絡むようになってきた中盤戦辺りから、明らかにドライビングが粗くなっています。落ち着いて勝負できるかどうか。彼の場合はその一点に、すべてがかかっていると言ってもいいでしょう。本命ですが不安定といったところでしょうか。私はあまり買いません。
で、気になるのが、同じチームメイトのウェバーと、2位のハミルトンです。昨年、132戦目にして初優勝を獲得したウェバーは、その後抜群の活躍を見せ、現在までのところチャンピオンシップも1位。オッズもベッテルに続いて2位と、いま最も乗りに乗っているドライバーです。彼の年齢は34歳。そろそろ引退の自覚もでてきているはずですので、今年は勝負の年という自覚があるはずです。その気迫はここ数戦の結果にもはっきりと現れています。車の調子も悪くありませんので、ポールをとればそのまま優勝も十分にありえます。
中盤以降、レッドブルと勝負ができる車を作り上げられたマクラーレン。そのドライバーであるハミルトンは、前戦で悔しいリタイアを喫しました。勝負への飽くなきこだわり、気迫はハミルトンの強味です。昨年の優勝者でもありますし、今回のシンガポールは雪辱の舞台としてはぴったりでしょう。ちなみに、もしポールを彼がとるようなら、優勝はそのまま彼で決まりだと個人的には考えています。
もちろん、バトンとアロンソも決して無視はできない存在です。特にアロンソのここ数戦の活躍ぶり(ドイツ優勝、ハンガリー2位、イタリア優勝)には凄まじいものがあります。昨年も彼は能力の劣ったルノーのマシンで後半大活躍を見せました。腕だけなら間違いなく、現F1ドライバーの中でナンバーワンだと思います。車のセッティングさえあえば、彼の力は遺憾なく発揮されるはずです。
バトンは「タイヤにやさしい」とても安定したドライバーで、確実にポイントを稼いでいくタイプです。なので、表彰台はあると思いますが、シンガポールに限って優勝はというと疑問符がつきます。
そして、さらに要素に加えるならば、ドライバーではなく、車の特性が挙げられます。
現在のところ一番速いマシンと言われているレッドブルは「コーナーでのスピードの速さ」が大きな特長です。一方で、レッドブルに迫りつつあるマクラーレンは「直線のスピード」に定評があります。フェラーリは改良に改良を重ねつつ、その中間をいっている感じでしょうか。シンガポールはコーナーの多いサーキットですので、その点ではレッドブルがかなり有利です。安定性では、マクラーレンがトップ、ついで、レッドブル、フェラーリの順。今年はタイヤがブリヂ
ストンの提供のみになりましたので、ほかは考えないとして、では、シンガポールグランプリの順位は一体どうなるのか。
私の頭の中の換算はこうです。
ドライバー | 腕のよさ | 気迫 | 運のよさ | プレッシャー | 特性 | 個人評価 | 合計 |
ウェバー | 3 | 5 | 3 | 3 | 5 | 3 | 22 |
ハミルトン | 5 | 4 | 4 | 4 | 3 | 3 | 23 |
アロンソ | 5 | 5 | 2 | 5 | 4 | 5 | 26 |
バトン | 3 | 2 | 3 | 2 | 3 | 2 | 15 |
ベッテル | 4 | 4 | 2 | 2 | 5 | 4 | 21 |
※個人評価は勝手な私見です。あしからず。
以上の結果を踏まえた私の予想は、
1位 アロンソ 5.50倍
2位 ウェバー 4.00倍
3位 ハミルトン 4.50倍
です。
ちなみに雨が降った場合は大きく結果が異なると思います。
この場合、有利なのはベッテル、バトンあたりのドライバーでしょう。
実力派で表彰台には乗るものの、なかなか優勝ができないクビサも、
15.00倍のオッズになっているため、賭けの対象としては面白いかもしれません。
期待を込めて、小林可夢偉(301.00倍)での勝負も、個人的には応援します。
はてさて、結果はどうなるのか。
9月26日がいまから楽しみです。