アメリカが競馬など国内業者のオンラインギャンブルを認める一方で、海外企業のオンラインギャンブルを事実上禁止しているのは貿易上の不公正だということで、WTOを舞台にして各国からの賠償請求が相次いでいました。日本も、EU等に続いて賠償請求を行っていました。
これが一応の決着を見そうです。
欧州と米国がオンライン賭博めぐる問題で合意、欧州賭博関連株が下落 (ロイター)
[ブリュッセル 17日 ロイター] 欧州委員会は17日、国内の賭博市場から外国業者を締め出すという米国の決定をめぐり、同国の妥協案に合意した。
パーティーゲーミング(PRTY.L: 株価, 企業情報, レポート)やビーウィン・インタラクティブ・エンターテインメント(BWIN.VI: 株価, 企業情報, レポート)など欧州のオンライン賭博業者は、欧州委が合意を避け、欧州企業による米国市場での運営が再び可能となるよう求めることを期待していた。
この合意を受け、17日の欧州株式市場では1030GMT(日本時間午後7時半)現在、パーティーゲーミングの株価が4.13%安、ビーウィン株が2.48%安となっている。
欧州委によると、欧州の業者には新たに米国の郵便・宅配、研究開発、倉庫などのセクターで業務を行う機会が与えられるという。
欧州委は、引き続き米国に「オンライン賭博に対して偏見のない方策」を求めていく、とした。
上の記事にはありませんが、欧州委員会(European Commission)だけでなく、日本とカナダも同時に米国と合意しています。
金銭的な賠償ではなく、別の分野で譲歩を勝ち取ったということになります。アンティグア・バーブーダ、マカオ、インド、コスタリカといった、賠償を求めていた他の国々とはまだ決着していないそうです。
が、EUという最大の勢力と合意したことで、オンラインカジノやポーカーなどのアメリカ市場は米国企業が独占する方向となりそうです。
この動きに対し、オンラインカジノの業界団体であるRemote Gaming Association(RGA)は、強く抵抗しています。
Online Gaming Firms Take Action Against U.S. (WinnerOnline)
上のような合意とは別の動きとして、アメリカ市場の開放を法的に迫っていくということです。
ところで、アメリカの議会では、最近になってUIGEA(オンラインギャンブル禁止法)を見直して、政府が免許をコントロールして課税もするという方向に向かおうという議論も活発です。
ですが、もしそうなるとしても、営業を認められるのはアメリカ国内のカジノ企業だけで、外国勢は対象外ということになるのかもしれません。
インターネットは国境がないとよく言われます。が、こういうニュースを見ると、国境がないどころか、国益のぶつかり合いの最前線にあることがよく分かりますね。
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